読書手帳【言葉のいらないラブソング】編
2023年2月26日。
多くの人に惜しまれながら解散したWEAVERのドラム担当である河邉先生。
バンドでは楽曲の作詞も担当していました。
現在は、小説家、写真家としてマルチに活躍されています。
2作目である流星コーリングは第10回広島本大賞を受賞。
そんな河邉先生の6作目である『言葉のいらないラブソング』
音楽家であった河邉先生が書いたシンガーソングライターを主人公とした小説。
これまでの作品以上にワクワクしながら読み進めました!
トピック
1.作品情報
1-1.タイトル
1-2.著者
1-3.あらすじ
2.こんな人にオススメ
3.作品を読んだ感想
3-1.感想
3-2.心に残ったフレーズ•場面
4.終わりに
4-1.読書期間
4-2.評価
1.作品情報
タイトル |
著者 |
言葉のいらないラブソング |
河邉 徹 |
あらすじ |
シンガーソングライターとして活動するも、周囲から“まじめすぎ”、“普通すぎ”と言われることに悩むアキ。そんな彼がひょんなことから出会ったのは、空気を読むことが苦手で“普通になりたい”と思っている個性的な女性、莉子だった。「自由な莉子と付き合えば、自分も変われるのでは」と思うアキ。「真面目なアキと付き合うことで、自分も普通になれるのでは」と思う莉子。そんなきっかけで交際を始めた正反対の二人は、やがて心から惹かれ合うが――。東京で生きる男女の等身大の恋を描く、音楽×ラブストーリー! |
2.こんな人にオススメ
・WEAVERが好きな人(言わずもがな!)
・音楽が好きな人
・音楽小説に興味がある人
・恋愛小説が好きな人
・変わりたいと強く願う人
3.作品を読んだ感想
【感想】
まず第一に、タイトルである『言葉のいらないラブソング』。歌なのに言葉がいらないってどういうこと!? と疑問を持ちながら読み進めていきました。
物語中盤に明かされるその意味には「なるほど」と思わず唸らされます。
人は誰しもきっと一度は変わりたいと願ったことがあるはず。けれどそれは簡単なことではなくて。いつだってきっかけを探している。
そんなきっかけで付き合い始めたアキとリコは、いつしかお互いの魅力に惹かれあっていく。
ぶつかりながらも寄り添い合い、成長し、変わっていく姿は、「自分もこんな風に変われるかな」と希望が湧いてくる物語でした。
河邉先生の描くライブシーンや舞台裏の描写は、流石はアーティストと言いたくなるほどリアルです。
普段見れるはずのないあちら側の世界に入れたような感覚に陥りました。
WEAVERを知らなくても、音楽が好きな人ならこれだけでも楽しめること間違いなし!
少しネタバレになってしまいますが、タイトルにもなっている『言葉のいらないラブソング』は物語の終盤でアキが制作した楽曲として登場します。
その歌詞が素晴らしい。
歌詞ってある場面を切り取るのではなく、これまで生きてきた環境。過ごした人。そういう人生の積み重ねで生まれてくるものなんだと。少なくとも河邉先生はそうやって作っているのかなと。より深く知れた気がして勝手に嬉しくなりました。
個人的に一番の注目ポイントなので、もし読まれる方は、ぜひチェックしてみてください!
余談ですが、小説の中に作詞した歌詞を入れるというは、小説を書いていた10代の頃に自分も思いついていた発想だったのですが、先をこされちゃいました。(完全に上位互換となっていたでしょうが。もしくは無知なだけで他にもあるのかもしれませんが)
【心に残ったフレーズ•場面】
「いやいや。励ましってわけじゃない。それに自信なんてな、そんなの時間の問題なんだよ。人は誰だって、少しずつ自分を騙しながら本物になっていくんだ。・・・」 |
高級寿司店でサポートミュージシャンである裕介が、悩むアキにかけた言葉。自分に言われているような気がして力が貰えました。 |
渋谷公会堂で行われたアキのツアーファイナルであるライブシーン。 |
初めて等身大の自分として歌うアキの姿に胸を打たれます。 |
4.終わりに
【読書期間】2023年8月~2023年9月
【評価】☆☆☆☆☆(五段階)
河邉先生の次回作も楽しみです!