読書手帳【言葉のいらないラブソング】編
2023年2月26日。
多くの人に惜しまれながら解散したWEAVERのドラム担当である河邉先生。
バンドでは楽曲の作詞も担当していました。
現在は、小説家、写真家としてマルチに活躍されています。
2作目である流星コーリングは第10回広島本大賞を受賞。
そんな河邉先生の6作目である『言葉のいらないラブソング』
音楽家であった河邉先生が書いたシンガーソングライターを主人公とした小説。
これまでの作品以上にワクワクしながら読み進めました!
トピック
1.作品情報
1-1.タイトル
1-2.著者
1-3.あらすじ
2.こんな人にオススメ
3.作品を読んだ感想
3-1.感想
3-2.心に残ったフレーズ•場面
4.終わりに
4-1.読書期間
4-2.評価
1.作品情報
タイトル |
著者 |
言葉のいらないラブソング |
河邉 徹 |
あらすじ |
シンガーソングライターとして活動するも、周囲から“まじめすぎ”、“普通すぎ”と言われることに悩むアキ。そんな彼がひょんなことから出会ったのは、空気を読むことが苦手で“普通になりたい”と思っている個性的な女性、莉子だった。「自由な莉子と付き合えば、自分も変われるのでは」と思うアキ。「真面目なアキと付き合うことで、自分も普通になれるのでは」と思う莉子。そんなきっかけで交際を始めた正反対の二人は、やがて心から惹かれ合うが――。東京で生きる男女の等身大の恋を描く、音楽×ラブストーリー! |
2.こんな人にオススメ
・WEAVERが好きな人(言わずもがな!)
・音楽が好きな人
・音楽小説に興味がある人
・恋愛小説が好きな人
・変わりたいと強く願う人
3.作品を読んだ感想
【感想】
まず第一に、タイトルである『言葉のいらないラブソング』。歌なのに言葉がいらないってどういうこと!? と疑問を持ちながら読み進めていきました。
物語中盤に明かされるその意味には「なるほど」と思わず唸らされます。
人は誰しもきっと一度は変わりたいと願ったことがあるはず。けれどそれは簡単なことではなくて。いつだってきっかけを探している。
そんなきっかけで付き合い始めたアキとリコは、いつしかお互いの魅力に惹かれあっていく。
ぶつかりながらも寄り添い合い、成長し、変わっていく姿は、「自分もこんな風に変われるかな」と希望が湧いてくる物語でした。
河邉先生の描くライブシーンや舞台裏の描写は、流石はアーティストと言いたくなるほどリアルです。
普段見れるはずのないあちら側の世界に入れたような感覚に陥りました。
WEAVERを知らなくても、音楽が好きな人ならこれだけでも楽しめること間違いなし!
少しネタバレになってしまいますが、タイトルにもなっている『言葉のいらないラブソング』は物語の終盤でアキが制作した楽曲として登場します。
その歌詞が素晴らしい。
歌詞ってある場面を切り取るのではなく、これまで生きてきた環境。過ごした人。そういう人生の積み重ねで生まれてくるものなんだと。少なくとも河邉先生はそうやって作っているのかなと。より深く知れた気がして勝手に嬉しくなりました。
個人的に一番の注目ポイントなので、もし読まれる方は、ぜひチェックしてみてください!
余談ですが、小説の中に作詞した歌詞を入れるというは、小説を書いていた10代の頃に自分も思いついていた発想だったのですが、先をこされちゃいました。(完全に上位互換となっていたでしょうが。もしくは無知なだけで他にもあるのかもしれませんが)
【心に残ったフレーズ•場面】
「いやいや。励ましってわけじゃない。それに自信なんてな、そんなの時間の問題なんだよ。人は誰だって、少しずつ自分を騙しながら本物になっていくんだ。・・・」 |
高級寿司店でサポートミュージシャンである裕介が、悩むアキにかけた言葉。自分に言われているような気がして力が貰えました。 |
渋谷公会堂で行われたアキのツアーファイナルであるライブシーン。 |
初めて等身大の自分として歌うアキの姿に胸を打たれます。 |
4.終わりに
【読書期間】2023年8月~2023年9月
【評価】☆☆☆☆☆(五段階)
河邉先生の次回作も楽しみです!
🌦暖かい雨☔️〜「人の悲しみに寄り添う」を題材とした小説集〜 趣味手帳番外編!
悲しい時に聴きたくなるのは何も楽しい曲だけではない。
私だけかもしれませんが、悲しい時こそ悲しい曲を聴きたくなります。そうすることで一人じゃないと強く想えたり、涙を沢山流していち早く前を向くことが出来るからです!
ただ「頑張れ!」じゃなくて「一緒に頑張ろう!」と言われてる方が力になりませんか?
悲しい時に悲しい曲を聴くと後者の気持ちになれるのです。
悲しい曲のプレイリストも作ってるほどです笑
多い時では年に十数回ライブへ足を運ぶ無類の音楽好きとして、特に音楽の有り難みを感じる瞬間でもあります。
無類の音楽好きである私ですが、同時に自分で小説を書いてしまうほどには無類の小説好きでもあります。
そんな私はふと思い立ちました。
それは……!
「悲しい時に聞きたくなる悲しい曲があるように悲しい時に読みたくなる小説が有れば面白いのではないか! と言うより読みたい!! あわよくば悲しい時に読みたくなる小説集が欲しい!!! 作りたい!!!!!」
ただの自己満足のため思い付いた企画でしたが、多くの悲しみが渦巻く昨今の情勢にピッタリなのではないかと思いました。
そこで!企画にしようと決意したのです🙋♂️
テーマは
誰かの悲しみで誰かの悲しみに寄り添うことの出来る小説!
縮めて
#悲しみに寄り添う小説
このタグを付けてTwitterで作品募集を呼びかけたところ今回も有難いことに沢山の方々にご参加頂きました。
本当に感謝してもしきれません。
誠にありがとうございました🙇♂️
そして参加頂いた方々の作品をアンソロジーとして拙い感想と共に纏めさせて頂きました!
このブログのタイトル『暖かい雨🌦』には
悲しみという雪に覆われた現代人の心を溶かすような物語の雨を降らせられたなら
という想いを込めています。
そんな想いにピッタリの作品ばかり。
是非ともご一読ください✨
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
🌦暖かい雨アンソロジー🌦
【】…タイトル
《》…著者名
〝〟…作品紹介
{}…感想
【革命】《松宮 奏》
〝『はみ出し者』として生きる孤独を抱えたサラリーマンに起きた小さな革命のお話です〟
https://sutekibungei.com/novels/44ce2125-d503-4d21-89dd-1783fcc0306c
【紋白蝶】《ましゅまろ様》
〝松宮奏さんの自主企画、悲しみに寄り添う小説として書いたショートショートです〟
https://sutekibungei.com/novels/d8d54067-7379-4498-acfe-814593033b21
{悲しみというのは全てが毎度新しく訪れる訳ではなく、経験することで一つずつ乗り越えていける物もある。そう考えると、これから起こる悲しみも今の悲しみにも、強く立ち向かっていける。そんな風に前を向ける作品でした✨}
【鬼は、優しい人に逢う為に】《七海美桜様》
https://twitter.com/ura_oran/status/1380952144820367362?s=21
{出逢いと別れの象徴である桜。桜という木が初めて出来た時の物語のように感じました。花びらの舞う情景が鮮明に思い浮かぶ、春らしい作品です🌸}
【ウシ太郎の死】《今野真芽様》
〝ぬいぐるみのウシ太郎が死んだ。そして私、中学三年生の桜井和子は、ウシ太郎の死体を抱えてバスに乗っている。制服のまま、学校をサボって〟
https://sutekibungei.com/novels/f6e525c3-9c4b-4e00-8bf2-c16595889421
{小さな頃のこうなればいいなが実現したような世界のお話。物にも魂があり大切に想い扱っていれば物も同じように思ってくれる。忘れかけていた大切な物を思い出すことが出来たような気がします🐮}
【命日反応】《安井優様》
https://twitter.com/_yuyasui_/status/1381552674513027072?s=21
{どんなに悲しいことでもいつかは風化していくもの。それは人間の強みでもあるけど、どんなに想っていてもいつかは忘れてしまうと捉えれば、ある意味では悲しいこと。心を捨ててまで会いたい人を選んだ主人公の愛が伝わります👐}
【失わない愛】《騰成様》
https://twitter.com/touseisyousetu/status/1381584997602140170?s=21
{人間がロボットと共存するという近い将来訪れるかもしれない世界で家族に訪れた悲劇。父の決断力とクライマックスの文書から読み取れる苦悩を想像すると胸が苦しくなりました🤖}
【繋げ屋さん】《ゆき様》
〝ここは繋げ屋さんです。 もう一度話したい大切な人を想う強い気持ちがあるあなたにだけ見えるちょっと不思議なお店です。 美味しい珈琲もご用意してお待ちしております〟
https://sutekibungei.com/novels/74163b53-df8f-41e2-82db-db9a81f19836
{次第にすれ違い、溝は深まり、気がつけば取り返しの付かないことになる。そんな誰もが一度はある経験。「自分なら誰に繋がるだろう」と想像の膨らむ物語でした📖}
【きらきら星】《石嶋ユウ様》
〝心に傷を負ったゆかりが出会ったのは、死んだ友達に似た女性だった。ゆかりは彼女とのやりとりを経て、死んだ友達のために自分に何ができるのかを考える〟
https://sutekibungei.com/novels/d7d6fb8d-5386-4431-86e4-99e68908ac99
{一人で抱え込まず誰かに悩みを吐露することで救われたり。独りぼっちに思えても何処かで見てくれている人がいると思えたり。人は一人ではないというこの企画を行うに当たっての動機にピッタリな小説だなと感じました🌠}
【酷い男ね、と私は思った】《胃口ゆうや様》
〝酷い男とそれに付き合う女の短編三連続です〟
https://kakuyomu.jp/works/16816452219772383819
{人造兵器と人のお話。精神は人間のまま人造兵器となった兵器と人間のある種の身の毛がよだつような世界観は現代社会にも通ずるものがあるように感じました🙍♂️}
【儚く吐かない】《はや(トモリ)様》
〝都心のビル街の一角。仕事の休憩時間に、喫煙所で煙草を吸う男が三人。それぞれにそれぞれの生き方があったが、やがて彼らはひとつの悲しい思い出を共有することになる〟
https://sutekibungei.com/novels/d8da5828-167d-4e95-b0d2-4006e18885a1
{煙草という題材も相まってハードボイルドな小説でした🚬忘れなければ死ぬことはない。誰からも好かれるような快活ない青年は、きっと大くの人達の心の中で生き続けている。そんな気がします}
【やめてほしい】《はや(トモリ)様》
〝この世でなくならない悲しいもの......。 そのひとつについて 自身の体験も元にして書かせていただきました〟
https://sutekibungei.com/novels/7d90609c-fc68-4e48-aafb-03095709f668
{人間は誰でも一人しかいない絶滅危惧種であり、世界にいなくなっていい人間などいない。作中の登場人物と同じような悲しみを抱いて生きる人に届いて欲しいと願う小説でした☂️}
【Your Choice】《胡桃ゆず様》
〝私は知らない男について行った。どこへ行くのか、何をされるのかも知らず。でも、殺されようが売られようが、もう自分の人生がどうでもよかったから、関係ない。さあ、どうするつもりなの。彼は私にこう言った。「選んでよ、生きるか、死ぬか」どうすることが、私が救われることなのだろう〟
https://kakuyomu.jp/works/16816452219797421794
{結末が2つあるという斬新な物語。二つに一つしか選べないのが人生という道。主人公が本当に選んだのはどちらであったのか。またどちらが幸せなのか。考えさせられる作品でした🗡}
🌠文学宇宙旅行🌠 〜「ここは宇宙です」から始まる小説集〜 趣味手帳番外編!
🌠文学宇宙旅行・経緯と想いについて🌠
「小説ってあらゆる表現の中で一番自由だと思うんですよ。例えば『ここは宇宙です』って書き出しにしたら、もうその世界は宇宙になるんですから」
大阪府枚方市で行われたあるブックトークイベントに出演した私の崇拝する作詞家さんが言っていた言葉。
イベントが行われたのは数年前でしたが、なんだか素敵だなあ。とずっと心に残っていました。
いつしか「この書き出しで小説を書いてみたい」とぼんやり思うようになり、長年のぼんやりを晴らすべく、筆を取り、書き終えた頃。
自分の中で新たな感情が芽生ました。
それは
ここは宇宙ですから始まる小説を読んでみたい
といったものでした!
そんな思いを叶えるべくTwitterで募集してみたところ、想像よりも遥かに多くの方に参加して頂きました。有難い限りです🙇♂️
投稿してくださった方々の作品を読んでいると、本当の宇宙へ行く物語や宇宙を何かに例えた物語、宇宙を使って持論を述べたような物語など、多種多様な作風で様々な宇宙を見て、体験した気分になりました。
このブログのタイトルにはそんな意味を込めています🌌
ただの思い付きでしたが、我ながらいい題材だったのでは。と、投稿してくださった方々の作品を読んで思えました🧐
そして#ここは宇宙ですから始まる小説 というタグを付け投稿してくださった作品をアンソロジーとして纏めてみました🖌
下のURLより、作品が読めるようになっていますので、是非とも宇宙への扉を開いてみてください。
それでは、文学宇宙旅行へいってらっしゃいませ🚀
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
【】…タイトル
《》…著者名
〝〟…作品紹介
{}…感想
【青の子】《松宮 奏》
〝人はどうして、周りの多くと違う人や物を拒絶し、恐れ、蔑むのだろうか。 同じ時に同じ星で生まれた同じ形をした生き物なのに〟
https://sutekibungei.com/novels/cfe5faff-d3b3-4a31-91ab-36de59f7e7ec
《甘衣 なこ様》
https://twitter.com/nako_amai/status/1305906375554338817?s=21
{人間の持つ可能性を強く感じられるような物語。是非とも続きを読んでみたくなります}
【水槽】《騰成様》
https://twitter.com/touseisyousetu/status/1306147365171073024?s=21
{胸を締め付けられる甘酸っぱい読後感。空を飛ぶように泳ぐ魚達が見れるあの空間は、言われてみれば宇宙みたいだ。と自分の中で新たな発見でもありました}
【天文台の叫び】《鯨ヶ岬 勇士様》
〝一人、汚い部屋の中で小説を書く。時代のせいか、それとも自分のせいか。その孤独の中で、宇宙に向けて叫びをあげる〟
https://sutekibungei.com/novels/4979f914-d59a-4696-98c6-5aa3335958bd
{将来への不安や焦燥と、その感情を和らげてくれるような周りの人々。頭に浮かんだ構図は、正しく宇宙だ。と納得し、自分と似た境遇の方がいるんだと知れて一人じゃないと思えました}
《古口 宗様》
https://twitter.com/koguti_syuu/status/1306228578774786048?s=21
{自分が嫌っている物事や人のタイプなど、嫌いなのは事実だけどその裏には何処か憧れている部分があったり...吉口さん小説に込められた想いがヒシヒシと伝わってきました}
【瞼の裏の宇宙】《今野真芽様》
https://twitter.com/imanomame/status/1306529964263649280?s=21
{目を閉じて想いを巡らせるだけで、どんな国にも、架空の世界にだって行ける。そんな人間の想像力こそ宇宙のようなものなのかもしれないと感じることが出来ました}
【宇宙に夢中】《ましゅまろ様》
https://twitter.com/w_chipmunk/status/1307154840687054850?s=21
{物書きさんではないとは思えないくらい、不思議で引き込まれる世界観。いつか長編を読んでみたいです}
【ぼくの小宇宙】《翔優様》
〝ひとりぼっちの「僕」は暗闇の中にいる。今いる場所がどこなのか分からないままに、部屋にひとりぼっちになっている。やがて、その場所が宇宙だと分かり……〟
https://twitter.com/show_you_show/status/1307190417394294784?s=21
{人は一人じゃないと強く思えました。実際の作中の登場人物と同じ境遇の人に贈ってあげたい作品です}
《安井 優様》
https://twitter.com/_yuyasui_/status/1307258342239211521?s=21
{恋や愛の類と宇宙を絡めた作品は新鮮で、自分なら絶対に出てこない発想に、舌を巻く思いです。読み終えた頃には清々しい爽快感が心に残りました}
《胡桃ゆず様》
https://twitter.com/yuzu_kurumi/status/1307297501351800833?s=21
{漂ったまま終わってしまうのか、これからなにかが始まるのか。物語の続きを読んでみたくなりました}
【人柱の言明】《郡冷蔵様》
https://twitter.com/korirezo/status/1307316422696075265?s=21
{文豪のような雰囲気を携えた文体と世界観に、無意識の内に引き込まれていました}
【僕だけの宇宙】《ゆき様》
https://twitter.com/w_yu_ki/status/1307532012249518080?s=21
{こんな風に誰かに一人とっての宇宙のような存在に誰しも憧れますよね。この二人の人生を見守りたくなるような物語でした}
【宇宙へ飛んだ君に】《石嶋ユウ様》
〝これから宇宙に旅立つ君と見る仮想現実の宇宙は、あまりにも綺麗で…… 宇宙にまつわる楽曲などからインスピレーションを受け、詩的な 文章表現に挑戦した掌編SF〟
https://sutekibungei.com/novels/506518d2-900d-47f3-9bff-0881369d2a74
{本当に宇宙へ行く物語はほとんどなく、題材であるのに斬新に感じ、宇宙へ先に旅立った恋人を追い掛けて宇宙へ行くというなんともロマンチックな演出に心が暖まりました}
【宇宙の輝きの欠片】《七海美桜様》
https://twitter.com/ura_oran/status/1307648363115016194?s=21
{優しさが光で見える世界なら、きっと今よりもっと優しさに溢れた世界になるだろう。そんな世界に羨望を抱きたくなる作品でした}
【あまねく創造のビッグバン】《姉川春翠様》
https://twitter.com/rayha89/status/1307655802581217281?s=21
{人のもつ創造力こそが宇宙のようなもの。この企画で色んな方の投稿を見て思ったことを体現して頂いたような作品でした}
【あなたが今いる場所】《砂乃路傍様》
https://sutekibungei.com/novels/be72f5dd-ad36-480b-ba5b-b2819ca00028
{宇宙=地球の外と考えてしまいがちですが、地球も宇宙の一つで私達も宇宙人なんだと改めて気付かされました}
【最初の記憶】《上茶春成様》
https://sutekibungei.com/novels/21a4fb4c-32b6-4995-95b2-ea880f0676ed
{決して届かない物事や人に惹かれたり、魅了されることは自分にも経験があり、痛く共感しました}
【宙に浮く】《ユーツキ様》
https://twitter.com/9vf5ntrmjgolgi2/status/1307728521012195333?s=21
{古典作家のような雰囲気を持つ文体。人の命はその灯火が消えれば何処へ向かうのか考えてみたくなりました}
《白明ヶ真冬様》
https://twitter.com/srmafufu/status/1307789241452171264?s=21
{人間は自分のことでさえ理解しきれていない筈なのに他者や物事への探究心が尽きず、苦しむことがある。自身の経験とも重なり、胸を揺さぶられました}
《のぞちゃん様》
https://twitter.com/music_433224/status/1308238264692666369?s=21
{長編小説の冒頭のような小説。この後にどんな登場人物が出てきて、どう展開していくのか。続きを読んでみたいです}
【星になる】《花菜子様》
〝これは、私の妄想です。起承転結の起結しかない話〟
https://sutekibungei.com/novels/f37e25f3-ced8-4fa3-b966-3d88b5e2752a
{報われない思いをしたけど、最期は夢を叶える。ある意味美しいけどやっぱり虚しい。命が絶える前に見つかったことを祈りたいです🤲}
【ムーンセッター】《ニコラスA様》
〝月没海面、そう呼ばれる素粒子層が月の周回軌道に幕を張って数十年になる。人類は、滑走船と沈降船を用い、二八日周期で現れる水面を割って、たった一つの衛星を沈めていた。宇宙飛行士のハーレーとルチアは、訓練生として三〇六回目の月没に臨む。〟
https://kakuyomu.jp/works/16816700426032947081
{宇宙船の如くスピーディーに目まぐるしく変わる展開と紐解かれていく過去に引き込まれ、画面をスクロールする手が止められませんでした。近未来の宇宙を舞台にしたテーマにピッタリハマる作品です🚀}
読書手帳【ルビンの壺が割れた】編
【タイトル】ルビンの壺が割れた
【著者】宿野かほる
【読書期間】2021年6月30日〜7月7日
【評価】(五段階)★★★★★
【あらすじ】
「突然のメッセージで驚かれたと思います。失礼をお許しください」--送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりが始まるが、それは徐々に変容を見せ始め……。先の読めない展開。読めないラスト。前代未聞の読書体験で話題を呼んだ、衝撃の問題作!
【感想】
ブログのタイトルにもある通り、上半期で一番衝撃を受けた小説です。
まず、あらすじに補足してお話しの概要を記載したいのですが、この小説は全編、主人公とヒロインのフェイスブックでのやり取りという斬新な内容で物語が進んでいきます。
歌舞伎にハマっていた中年男性、水谷一馬が、たまたまフェイスブックで歌舞伎のページを開いていた時に、かつて結婚の約束までしていた恋人、結城未帆子のアカウントを見つけます。懐かしく思った水谷一馬は、結城未帆子のアカウントへメッセージを送るのですが、そのメッセージの中では、結城未帆子は亡くなった人と記載されています。
冒頭からしばらくは水谷一馬からの一方的なメッセージばかりが続くため、未帆子は本当に死んでしまった人なのだと思い込まされまれるのですが、、、
ここが一つ目の衝撃。
読み手には完全に故人だと思い込まされていた未帆子から突然返信が来るのです。
水谷一馬曰く、死んだと思い込まないと平静を保っていられなかったとのこと。その原因として、二人の結婚式の当日に未帆子が行方をくらましたことなどがあるのですが、それはまだ先に分かる話。
未帆子からの返信をきっかけに二人のやり取りが始まります。大学の演劇部で出会った二人がどれほど互いに惹かれていたかなど。ノスタルジックな雰囲気でやり取りが行われ、二人の過去が徐々に紐解かれていくのですが……。
やり取りが中盤に差し掛かると、それまで抱いていた印象がガラリと変わります。それも一度と言わず何度も。二人のやり取りを読み進める度に変わります。死んだと思っていた人が生きていたという最初の衝撃を悠に超えていくほどです。
そしてその衝撃を繰り返した末のとんでもないラストは誰も想像だに出来ないでしょう。
冒頭の部分が少々ネタバレになってしてしまいましたが、この物語はこれしきのネタバレは雑作もなく、読みたいと思って頂くキッカケには必要であるとの判断しました。
ご了承くださいませ🙇♂️
著書のタイトルでもある「ルビンの壺」というのは教科書などでも見た記憶があるかと思いますが、デンマークの心理学者エドガー・ルビンが考案した多義図形です。
見方によっては、壺に見えたり、人間が向かいあっているようにも見える有名な図形ですが、この小説はまさにそれ。
絵に出来て、文学には出来なかった表現をやってのけたような、この小説を模倣した作品がこれから沢山出てくるだろうという、新しい風になる予感のする小説でした🏺
タイトル通り、読み手によって解釈が全く異なってくるような作品で、この小説を題材に読書感想会などを開いたら盛り上がりそうだなと思います。
もしもう既に拝読済みの方がおられましたら、是非とも感想を言い合いたいですので良ければメッセージなど頂けると嬉しいです。
以上で松宮奏の読書手帳を終了させて頂きます。
不定期ではありますが、今後も行なって行こうと思っていますので、是非ともよろしくお願いします🙇♂️
読書手帳【アルヒのシンギュラリティ】編
【タイトル】アルヒのシンギュラリティ
【著者】河邉徹
【読書期間】2020年8月〜2020年9月
【評価】(五段階)☆☆☆☆☆
【あらすじ】
人間とAIを持ったロボットが暮らす街サンクラウド。天才科学者の息子アルヒは、ひょんなことから幼なじみのサシャ、ロボットのクーとともに、街で最も高い建造物である「知の塔」に忍び込むことになるが……。隠された真実と向き合い、運命に心揺さぶられながらも力強く成長していく少年の姿を描いた長編SF。
【感想】
あるバンドとの対バンがキッカケでWEAVERと出会い、WEAVERの音楽に触れ、河邉さんが小説を発売知り、処女作である『夢工場ラムレス』を手に取って読んだ時から、小説家河邉徹先生のファンになりました。
「処女作からいきなりこんなに面白いの!?本当に初めて小説を書くの!?」
というのが夢工場ラムレスを読んだ後の率直な感想。さらに前回の『流星コーリング』では広島本屋対象を受賞されていました。
恐らく、ファンや世間からの期待値もハードルも上がる中での3作目。
個人的にも期待が膨らんでいるのを感じていましたが……。
やすやすと超えられました。
書籍化された3作の中でも一番好きな作品になりました。
自分は「音楽を曲無しで、歌詞だけでも楽しめる」と自負している歌詞マニアで、河邉さんも書籍を読む前から好きな作詞家さんの一人ではありました。
河邉さんの書く歌詞はどれも暖かく、優しく背中を押してくれるような印象があります。
河邉さんの歌詞のそういった雰囲気が3作の中で一番出ていたのが、今回の『アルヒのシンギュラリティ』ではないかなと思いました。
コアを入れ替えただけで姿形を変えることだって出来るロボット達。
感じる苦しみや嬉しさ悲しみ。その一切合切はプログラムされたモノだけど、確かにそこにあって。
そんなロボット達の心理描写やロボットと共に暮らすサンクラウドの人々を見ていると「心ってなんだろう」と、童心に返り、考えることが出来ました。
また『アルヒのシンギュラリティ』で一番感銘を受けたところは「世界で一番優しい物語」と銘打っているように、この物語では誰も、怒りや憎悪といった感情に支配された描き方をされていないと感じたところです。
途中、いくつかの悲しい場面、胸が苦しい場面が出てきます。
サンクラウドを追われて街の外へ辿り着いたアルヒが、家族同然のように過ごして来たリブターズが人間の手によって破壊されてしまいます。
人間に対し、激しい恨みを持ってもなんらおかしくない場面ですが、
「人間を憎むなよ。これはな、心の問題なんだよ」
というリブートの言葉を胸に、アルヒは最後まで人間を恨むことなく生き抜きます。
また、ロボットの存在を危惧して全てをゼロに戻そうとするスタン。
物語でいう、いわばラスボス的な存在です。
全てをゼロにする、言い換えれば、多くの人々を虐殺しようとしているスタンのことを、もっと極悪非道な表現を用いても良い筈ですが、スタンにもスタンの事情があって、正義がある。
スタンの行為を止めようとするアルヒも、それは承知していて……。
河邉さんの書くこの物語では、登場人物の誰一人、落とし入れるような否定するような書き方がされておらず、それがまさに「世界で一番優しい物語」の所以だなと感じました。
いつかの日かアニメ映画化して欲しいと願って止みません🤖
そして4作目の期待が更に高まりました✨
【心に残ったフレーズ】
・「人間はバカだ? 待て待て、人間を憎むなよ。これはな、心の問題なんだよ」
街の外でアルヒのコアを奪いに来た人間からアルヒをリブーターズが守るシーン。リブートがアルヒに向かって言ったセリフ。
(p211の16行目)
・「だけど僕は気づいたんだ。生きる意味を持って生まれてこなくても、生きる意味は自分で見つけ出すことができる」
スタンがサンクラウドをゼロにする爆弾のスイッチを押し、絶望したサシャを見てアルヒが隠された力を発揮されるシーン。
(p340の5行目)
・「誰かのためを願った時にだけ、奇跡の力を使うことができる。きっと人間だって、そういう風にできているんじゃないかな」
アルヒが、スタンの起動させた爆弾を、隠された力を使って空へと運ぶ間際にサシャに言ったセリフ。
(p341の10行目)
読書手帳【オーデュボンの祈り】編
【タイトル】オーデュボンの祈り
【著者】伊坂幸太郎
【読書期間】2020年4月〜2020年5月
【評価】(五段階)☆☆☆☆☆
【あらすじ】
コンビニ強盗に失敗し逃走していた伊藤は気が付くと見知らぬ島にいた。江戸以来外界から遮断されている“荻島“には、妙な人間ばかりが住んでいた。嘘しか言わない画家、「島の法律として」殺人が許された男、人語を操り「未来が見える」カカシ。次の日カカシが殺される。無残にもバラバラにされ、頭を持ち去られて。未来を見通せるカカシは、なぜ自分の死を阻止出来なかったのか?
【感想】
陽気なギャングシリーズで一気に心を奪われ、崇拝する作家さんの一人となった伊坂先生。
この作品を一言で表すとするならシュール。
処女作である、オーデュボンの祈りでも伏線の魔術師(敬意を込めて勝手にそう呼んでいる)は健在で、全体を通して脱帽したのはやはり物語の展開作りです。
一つの塊が二つに別れて、平行線のように進んで行く。そこに過去の出来事までも混ざり合い、最終的には一つの塊に戻り物語が終結する。
この後はどんな展開になるのか。考えながら読み進めても絶対に裏切られる。一生追いつけない追いかけっこをしているような気持ちになります。
裏切られた展開作りについて。驚いた箇所が二つあります。
一つ目は、あらすじにあるように、様々な個性的なキャラクターが出てくる中でも一際強烈な印象を放つ、未来が分かって人語を操るカカシ。
このカカシをメインに物語が進んでいくのかと思えば四分の一もいかない段階で殺されてしまいます。表紙の裏面のあらすじには書いてあるのですが、敢えて読まないようにしているので思わず声が出ました。笑
二つ目は、極悪非道といった言葉がぴったりな、伊藤と同級生であり、警察官の城山。
城山が轟を脅して、荻島に向かうこと決めた時、桜に殺されるのだろうなあと直感したのですが、荻島について、伊藤と会うこともなく、そのまま桜の家に行き、殺されてしまうというのが予想外でした。(この辺は本編を読んで見てください)
あらゆる登場人物の中で、一番自分が惹かれたのは桜です。
荻島で桜という存在は、天災や災害で人が死ぬのと同じように、人間でありながら人を殺すことが容認されているのです。
桜が人を殺す理由や考え方が、今から二十年も前に刊行された作品であるのに、コロナ渦中にある現代社会にも通ずるものがありました。
人間は地球上に存在するあらゆる生き物よりも醜くて価値がない生き物であると考えている桜は、伊藤に「なぜ人を撃つのか」問われた時に「正気を保つために人を撃つ」と答えます。
陽気なギャングシリーズで登場する、動物しか友達がいない久遠という青年も、桜と同じような考えを持っていることから、この考えは伊坂先生が物語に込めた、「自分自身」なのだろうなあと思います。
自分と似たような考え方や価値観を持っている作家さんに惹かれやすいという傾向が、自分の中であります。
桜や久遠から見える、伊坂先生の「人間」に対する価値観が自分と似通っている所が、伊坂先生に惚れた理由なのだなと、この作品を読んで改めて思いました。
自分の中で、面白い作品を書く作家には、二パターンの作品傾向があると思っています。
一つ目は、登場人物をチェスや将棋の駒のように使い、蜘蛛の巣のように伏線を張り巡らせる。構成作りが面白い作家。
二つ目は、構成作りには重きを置かず、地の文や登場人物に「自分自身」をひたすら投影していて、面白い作家。
例を挙げるなら、前者は東野圭吾先生。後者は又吉直樹先生。自分はどちらも読みますが、どちらかといえば後者が好きです。
伊坂先生は一見、前者かと思いがちですが、後者の要素もの凄く強いんです。
自分が知っている中では二パターンとも兼ね備えた作家さんは伊坂先生だけだと思っています。
オーデュボンの祈りは処女作ということもあって、陽気なギャングシリーズよりも、作中に込められた「伊坂先生自身」をより深く感じることが出来ました。そこもこの作品の魅力です。
最後になります。
作品の感想だか、伊坂幸太郎の魅力語りなのか分からなくなってしまいましたが、小説が好きなのにまだ伊坂作品を手に取ったことがないという方は今すぐにでも読んで欲しいです。
[オーデュボンの祈り]は人生を歩み終える直前に、名刺代わりの小説十選を作るとしたら、その中に入るであろうと、現段階で思える作品でした?
【心に残ったフレーズ】
日比野が伊藤を連れて優午がいる田園へ。伊藤が初めて優午と対面したシーン。カオス理論の話から日比野が言ったセリフ(38p)
•ジャングルを這う蟻よりも価値のある人間は、何人だ
・桜の家での桜と伊藤の会話シーンより。桜のセリフ(304p)
・たんぽぽの花が咲くのに価値はなくても、あの花の無邪気な可愛らしさに変わりはありません。人間の価値はないでしょうが、それはそれでむきになることはないでしょう
優午と幼い頃の桜が会話するシーン。優午のセリフ(306p)